毎週日曜に投稿する本マガジン「移動日記(仮)」では、デジタルノマド/ヘルスコーチとして国内外を移動する筆者が、現地で実際に見て、聞いて、体験したことや考察などを世界のどこかからお届けします。

特別企画「Q&Aコーナ」のお知らせ

今回、特別企画として「第2回Q&Aコーナー」を行いたいと思います。デジタルノマドの生活、旅、健康、トレーニングのことなどお気軽にご質問ください。

質問フォーム

noteのマガジン「移動日記(仮)」のQ&Aコーナーの質問フォームです。
募集期間:2026年4月19日の23:59まで
回答:2026年4月26日のニュースレター内

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近況

今週も石垣島にいます。

これまでゲストハウスという場所にあまり泊まってこなかったこともあり、今回の滞在ではとても興味深い体験をしています。それは「ゆんたく」です。

ゆんたくとは、沖縄の言葉で「おしゃべり」や「雑談」のこと。特別な目的があるわけでもなく、ただ集まって話をする。沖縄では昔から、ごく自然に行われてきた文化のひとつです。

もともと沖縄は、本土とは少し異なる時間感覚や共同体の文化を育んできた土地でもあります。暑い気候のなかで、日中の強い日差しを避けながら人が集まり、家の縁側のような場所や集落の共同空間で言葉を交わす。農作業や日々の暮らしの合間に、近所の人たちとたわいのない話をする。そうした何気ない会話の積み重ねが、人間関係を支え、地域のつながりをつくってきたのでしょう。

沖縄は歴史的にも、島ごとに人と人との距離が近く、助け合いの文化が色濃く残っている場所です。海に囲まれた環境のなかで、共同体の結びつきは暮らしそのものに直結していたはず。ゆんたくは、単なる暇つぶしではなく、互いの気配を確かめ、関係を保ち、安心して生きていくための生活文化でもあったのだと思います。

石垣のゲストハウスに滞在していると、この土地にゆんたく文化が根づいているからか、ゲスト同士の会話が自然に生まれます。朝、コーヒーを飲みながら今日の予定を話す時間。昼にはリモートワークをしている人と自分の仕事の話をする時間。そして夜になると、仕事を終えた人やたっぷり遊んできた人たちが共有スペースに集まり、それぞれが飲み物を片手に会話を始める。日本人も外国人も、それぞれのペースで。

考えてみれば、現代ではこうした文化はとても贅沢なものなのかもしれません。役に立つかどうか、意味があるかどうか、何かにつながるかどうか。僕たちはつい、時間に対してそういう価値を求めてしまいます。でも、ゆんたくの時間には、そうした尺度では測れないよさがあります。

デジタルノマド的な生活をしていると、どうしても人との関係は断続的になります。場所が変われば人も変わる。その中で、こうしたゆるやかなつながりの時間は、意外と貴重だと感じています。

仕事や移動の効率ばかりを考えていると、こうした時間は削られていきます。でも、本来はこういう時間こそが、日々の余白をつくっているのかもしれません。

効率や成果が重視される日常の中で、こうした時間をどう持つか。石垣島でのゆんたくは、そのことをあらためて考えさせてくれます。今夜はどんな人が集まり、どんな会話があるのか。そんなことを思いながら、石垣の夜をひそかに楽しみにしています。

乱世をサバイブする体づくり

[32]自分の生活に合わせた体づくりの設計

トレーニングを続けるうえで、大切なのは一般論としての正解を知ることではなく、自分の生活や仕事、体調に合わせた「自分仕様の型」を作ることだということです。今回は、運動では自分のトレーニング分割法、栄養ではケトジェニックとトレーニングの関係、休養では回復を前提に1週間をどう設計するかについて整理していきます。

【運動】生活に合わせたトレーニング分割を組む

筋トレを続けていると、必ず一度は「何分割が正解なのか」という疑問にぶつかります。全身法がいいのか、上半身・下半身で分けるのか、それとも3分割や5分割がいいのか。SNSやYouTubeを見ていると、いろいろな方法があり、それぞれにもっともらしい理屈があります。

ただ、実際に続けてみると分かるのは、分割法に絶対的な正解はないということです。重要なのは、その分割法が自分の生活に合っているかどうかです。どれだけ優れた理論でも、仕事や生活リズムと噛み合わずに続かなければ意味がありません。

僕自身、トレーニングを続ける中で意識しているのは、1回ごとの完成度だけではなく、1週間や1ヶ月、3ヶ月単位でどう積み上げるかという視点です。ある日だけ気合いで追い込むのではなく、期間全体で見て無理なく回せること。そのためには、部位の重なりや疲労の抜け方、仕事の忙しさまで含めて考える必要があります。

分割法を考えるとき、基準になるのは主に3つあります。1つ目は、各部位に十分な刺激を入れられるか。2つ目は、回復の時間を確保できるか。3つ目は、現実の予定の中で継続できるかです。例えば、脚の日を重くやった翌日に長時間移動があるといったことも本来は無視できません。

この意味で、分割法は単なる筋トレメニューではなく、生活設計そのものです。自分の仕事量や睡眠時間、疲労の出やすい部位、精神的な余裕まで含めて考えてはじめて、実用的な形になります。

また、分割法は固定しすぎないことも大切です。理想は「月曜は胸、火曜は背中…」と毎週きれいに回ることかもしれませんが、現実にはそうはいきません。仕事が立て込む週もあれば、睡眠不足の日もある。そういうときに大事なのは、予定通りにできなかった自分を責めることではなく、どう修正して継続するかです。

今日は重い脚の日の予定だったけれど、明らかに回復が足りない。そう感じたなら、軽めのセッションにする、順番を入れ替える、あるいは思い切って休む。その柔軟さが、長く続けるうえではむしろ武器になります。

結局のところ、分割法とは「最強の理論」を選ぶことではなく、「今の自分が続けられる仕組み」を作ることです。体づくりは短距離走ではなく、長い時間をかけて積み上げるものです。だからこそ、生活の中に自然に組み込める設計が何よりも重要になります。

【栄養】ケトジェニックとトレーニング

栄養の世界でも、方法論は数多くあります。その中でもケトジェニックは、脂質をエネルギー源として活用しながら糖質を大きく制限するという、比較的はっきりしたルールを持つ食事法です。減量や血糖コントロールの文脈で語られることが多く、実際に相性の良い人もいます。

ただ、筋トレや運動と組み合わせる場合には、単に「痩せるかどうか」だけでは語れません。トレーニングの質をどう維持するか、筋量をどう守るか、日常のパフォーマンスとどう両立するかという視点が必要になります。

ケトジェニックのメリットのひとつは、食欲の安定感や血糖の乱高下が起こりにくいことです。空腹感が暴れにくくなり、食事管理がしやすいと感じる人もいます。また、低強度の活動や日常生活のエネルギー供給という点では、安定しやすい場面もあります。

一方で、筋トレとの相性は一枚岩ではありません。特に高重量を扱うトレーニングや、ボリュームの大きいセッション、瞬発的な出力が求められる場面では、糖質をある程度使える状態のほうが有利に感じる人も少なくありません。パンプ感が出にくい、粘れない、後半の集中が落ちるといった体感も起こりやすい。

つまり、ケトジェニックは万能ではなく、目的次第で評価が変わるということです。体脂肪を落とすことを優先するのか、筋量の維持を最優先するのか、あるいは日中の集中力を重視するのか。その目的が曖昧なまま取り入れると、効果も評価しづらくなります。

さらに、ケトジェニック中にトレーニングを続けるなら、糖質を減らすことだけに意識が向きすぎないことも重要です。筋肉を維持するにはタンパク質が必要ですし、発汗や食事内容の変化によって電解質バランスも崩れやすくなります。単に糖質を抜くだけではなく、総摂取カロリー、タンパク質量、塩分やミネラル、水分まで含めて整えなければ、パフォーマンスは落ちやすくなります。

実際には、ケトジェニックが合う人もいれば、明らかに合いにくい人もいます。減量局面では機能しても、筋力向上やトレーニングの質の向上を狙う局面では噛み合わないこともあるでしょう。だからこそ大切なのは、流行っている方法を信仰することではなく、自分の体感と目的に合わせて使い分けることです。

体づくりの栄養戦略は、正しさの競争ではありません。自分がどう動きたいのか、どんな状態で日々を送りたいのか、その目的に合った形で設計することが重要です。ケトジェニックもまた、合うか合わないかを冷静に見極めながら使うべき、ひとつの選択肢にすぎません。

ちなみに、僕の場合はケトジェニックを行いながら、トレーニングの日はある程度の糖質を摂取するようにしています。

【休養】回復を前提に1週間を設計する

運動と栄養について考えるとき、どうしても「何をするか」「何を食べるか」に意識が向きがちです。しかし、その2つを実際に成果につなげる土台になるのが休養です。どれだけよい分割法を組んでも、どれだけ食事を整えても、回復が追いつかなければトレーニングは積み上がりません。

休養というと、ただ何もしない日を指すように思われがちですが、実際にはもっと能動的なものです。体づくりにおける休養は、疲労を抜き、次のパフォーマンスを作るための設計です。言い換えれば、休養は「サボること」ではなく、「前進するための準備」です。

ここで重要になるのが、1日単位ではなく1週間単位で考えることです。今日は元気だから追い込む、明日も何となくやる、疲れたら寝る。そうした行き当たりばったりの積み重ねでは、長期的には崩れやすくなります。むしろ、あらかじめ回復を前提にスケジュールを組んでおくほうが安定します。

例えば、脚や背中のように全身の疲労が大きい部位をやった翌日は、仕事の集中力が落ちることもあります。睡眠が短かった週は、同じメニューでも負荷を落としたほうがいいかもしれません。こうした調整は、弱さではなく管理能力です。自分の疲労の出方を把握し、それに応じてボリュームや強度を調整することが、継続と成果の両方につながります。

また、オフ日の使い方も大切です。完全に何もしない休みが必要なときもあれば、軽く歩く、ストレッチをする、日光を浴びる、湯船に浸かるといったアクティブレストが効果的なときもあります。回復は、ただ寝るだけで完了するものではなく、生活全体の質の中で作られていきます。

そして、やはり睡眠は外せません。睡眠時間が足りない日が続けば、筋力も集中力も落ちやすくなります。食欲も乱れやすくなり、判断も雑になります。そうなると、トレーニングも食事も崩れやすくなる。つまり、睡眠は休養の中核であり、運動と栄養を支える基盤そのものです。

乱世のような不安定な時代では、仕事も生活も予測通りにはいかないことが多くなります。だからこそ、疲労をため込まない設計、崩れても立て直せる設計が重要になります。頑張り続けることではなく、回復しながら続けること。その発想が、長い目で見た体づくりを支えてくれるのだと思います。

まとめ

大切なのは、正解を探すことではなく、自分に合うやり方を作ることです。運動では続けられる分割法を選ぶこと、栄養では目的に合った食事法を使い分けること、休養では回復を前提に1週間を設計すること。この3つが噛み合ってはじめて、体づくりは無理なく続いていきます。

次週に続きます。

デジタルノマドの窓

デジタルノマドの窓[12]デジタルノマドビザ申請件数とランキング指標、2つの「人気」

これまでのシリーズでは、アジア・欧州・南米各国の制度設計を見てきました。今回は少し視点を変えて、「どの国のビザが実際に使われているか」「制度の魅力度はどこが高いか」という問いに、現時点で入手できるデータを使って見てみます。

ただし、各国が申請件数・承認件数を独自に公表しているかどうかもまちまちで、公表していない国の方が多い状況です。「人気」の測り方によって答えが変わることを前提にご覧ください。

申請件数:タイが圧倒的

申請・承認の実数という軸で見たとき、タイのDTV(Destination Thailand Visa)は2024年の開始からほぼ1年で申請数が35,000件を超え、デジタルノマドビザ単体の件数としては世界最大規模になっています。

ただし、DTVの設計は他のビザと大きく異なります。5年間有効・複数回入国可能で、1回の滞在は最大180日というつくりで、申請に必要な財政要件は50万バーツ(約215万円)の残高証明のみです。月収の最低ラインも、学歴・職歴の証明も求められません。間口が広い分、純粋な「居住目的」以外の申請者も多く含まれると見るべきで、欧州の居住ビザ的な制度と同列には比べにくいところがあります。

制度の運用面でも課題が出ており、タイ国内での銀行口座開設が難しいケースや、国内延長の手続きが想定通りに機能しない事例が現地メディアで報じられています。数字の大きさとともに、こうした実態面も踏まえておく必要があります。

欧州・カリブの実数:ポルトガル・バルバドスが安定

タイほどの規模ではありませんが、制度として着実に機能していることが数字で確認できるのがポルトガルとバルバドスです。ポルトガルのD8ビザは2024年時点で累計2,600件超が発給されており、申請者の出身国はアメリカが最多で、次いでブラジル、イギリスの順です。欧州内での生活コストの低さ、英語の通じやすさ、永住権への経路があることが選ばれる理由として挙げられることが多い制度です。

カリブではバルバドスのWelcome Stampが実績面でリードしています。2024年4月時点で累計5,164件の申請に対して3,058件が承認されており、承認率は約59%です。件数そのものよりも、制度が2026年末まで継続されることが政府により確認されているという安定性が、停止・終了したバハマやバミューダと大きく異なる点です。

一方でスペインは、制度の評価は高いにもかかわらず件数が伸び悩んでいます。スペイン外務省によると2023年末時点の承認件数は約300件にとどまっており、書類要件の複雑さや社会保険の証明が壁になっているケースが多いとされています。「魅力的だが取りにくい」という評価が定着している制度です。

ランキング指標で見ると:欧州勢が上位を独占

件数とは別に、複数の機関が「制度の魅力度」を多角的にスコアリングしています。インターネット速度、税制、収入要件のハードル、生活費、医療水準、観光インフラ、永住権への経路などを加重平均する方式です。

VisaGuideのデジタルノマドビザ指数では、スペインが1位(スコア5.0)、UAEが2位(4.48)、モンテネグロ、ハンガリー、ポルトガルが上位に続いています。Immigrant Investの2026年版インデックスでも欧州勢が強く、ハンガリー・ポルトガル・スペイン・イタリア・マルタが繰り返し上位に登場します。

スペインがランキングで1位を取りながら件数が伸び悩んでいるのは示唆的です。「制度として優れている」と「実際に申請・承認されやすい」は別の話であり、ランキング指標だけで選ぶと現実とのギャップを踏む可能性があります。

2つの「人気」を整理する

申請件数ランキングとランキング指標を並べると、見えてくる構図があります。件数ベースではタイが飛び抜けていますが、これは低い収入要件と広い間口によるもので、制度の深度より間口の広さが件数を生んでいます。欧州の上位国(ポルトガル・スペイン・マルタなど)はランキング指標で高く評価されますが、書類のハードルが相応にあり件数は抑えめです。バルバドスはその中間にあり、カリブの制度としては件数・安定性ともに実績があります。

どちらの「人気」を重視するかは、目的次第ということになります。ビザ取得のしやすさを重視するならタイ、制度の堅牢性と将来の居住権を重視するなら欧州、手頃なカリブ体験を求めるならバルバドスが、現状の選択肢として浮かびます。

次回に続きます。

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